密室ものとしての「ゼロ・グラビティ」
2013.12.16

先日紹介した「ゼロ・グラビティ」、おもしろいですよ。
アトラクション的におもしろくて、かといってB級ではない。

人工衛星爆破によって破片がまき散らされ、
そのまきぞえで女性宇宙飛行士が宇宙空間に
放り出されてしまう。
大量の破片により、地上との交信もできなくなる。
頼れる仲間も少ないなか、生還をめざす。

あとから気がついたことだけど、
この作品は「密室もの・閉鎖環境もの」でもある。
地上と交信できず、仲間も少なく、使える機材も限定的。
宇宙という大空間が舞台だけど、閉じ込められているわけ。

密室・閉鎖環境というと、部屋に監禁されたとか、
悪天候で建物や島から出られない、というパターンが
ありがちだけど、物理的な広さは関係ないようだ。
「外部との接触が断たれている」ことが最重要なんだろう。
「ゼロ・グラビティ」では、SF要素は物語の核ではない。

外部とのつがなりが重要なら、「ゼロ・グラビティ」的な話を
現代の、都会の生活で表現することもできそうだ。
孤独死や餓死、自殺がめずらしくないのがその象徴で、
人間関係が薄い状態は密室にいるのと同じだ。
密室・閉鎖は孤独・孤立と同じ。

行動を大きく制限されるかどうかも、
都会的な密室・閉鎖環境にはあまり関係なさそうだ。
会社や学校に行ったり、家に帰れば家族がいるような、
一見まともな生活を送っているようでも、
じつは精神的な閉鎖環境にいる人は少なくなさそうだ。
実際の行動範囲や人間関係までせまくなったら、さらに危険だ。

籠城戦は自主的・意図的に実行するけど、
都会的な密室・閉鎖環境はいつの間にかそうなってしまう。
見えない壁に囲われているような、自分だけ違う世界にいるような、
そんな感覚になるかもしれない。

それでも、穴を開けたり、溶かしたりはできる。
いつの間にか発生した密室は、いつの間にか消える。
内部からのみの努力ではむずかしいかもしれないが。

こうした考えかたは、物語のネタになりそうだよね。
ネタというか、現代社会の一部がそうなっているんだけど。

「ゼロ・グラビティ」のラストシーンの直前、
倒れているヒロインはある動作をする。
それが物語の結末として象徴的で、それを下から撮っているのが
さらに印象を強くしている。
作品の評価に確実に影響をあたえる終わりかただ。


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